ゴンのヴィーガンライフ(旧ゴンの台湾留学記)

ゴンです。台湾に語学留学していました。ヴィーガン、エコ、ミニマムな暮らしを目指しています。

出発、そして到着

飛行機は1時間遅れで離陸した。今まで何度も遅延を経験してきたけれど、今回ほど「まだ離陸しないの」と思ったことはない。だって留学するのだから。初っ端から予定調和が狂わされては困る。

飛行機はなかなか滑走路を走り出さなくて、ようやく動き出したかと思いきや久しぶりに運動をするときのようにゆっくり足をならす程度。もう焦らすなあ、早く飛んで!と思っていたらゴゴゴゴと音を立てて勢いよく滑走路を駆け出し、角度をつけて飛んだ。飛行機に乗るとよくお腹のあたりに感じる浮遊感はなかったから、まあよし。

私の席は飛行機の翼の真横の窓側だった。重そうな鉄の塊と細々した雲と水色の空をぼんやり眺めた。この歳にもなると飛行機に対する感動、というものを覚えなくなった。子どもの頃は窓際の席に座ることが空の旅での極上を味わうためのポジションで、任天堂DSの画面くらい食いついて窓からの景色を眺めていたというのに。今は景色よりも機内に座る人間に関心が向く。

LCCに乗っているのだから、大体が旅行客か、又はマイルを貯めない派の日本と台湾を行き来する人間なのだろう。

私の隣の男2人組は、おそらく台湾リピーター客だ。どちらもTシャツに膝丈のパンツという身軽な格好をしている。機内誌の中国語を読めるようだったし、度々流れるアナウンスに耳をそばだてて何言っているか話し合っていたようだから中国語も知っていそうだ。

だったら私がポカリスエットを買う時に助けてくれても良かったのに。

てっきり機内で飲み物が出てくると思い込んでいたから水を買い忘れ、仕方なく1番安いポカリスエットを買った。市内に着いてから台湾ドルへ換金しようと思ってたから、日本円で買うしかなく、しかも千円札しか受け付けないとのことだった。345mlのポカリスエットをなんと空の上価格の214円(60台湾ドル)でお買い上げ。お釣りは221台湾ドル。

まあ始まりはこんなもんだろう。

しばらくすれば眠くなり、肩までの長さの髪を前にぶら下げてこっくりこっくりしていたら、着陸のアナウンスが流れた。CAさんに起きて窓のブラインドを全開にして、座席のリクライニングを戻すように言われた。これは安全確保のための指示であると思うので従う。

 

土地が、街がどんどん近づき、飛行機は勢いを持って着陸した。小さな窓から西日がきつくこちらに向いていた。

一斉にスマホの通知音が鳴り響きなんだかおかしい。地上に着いた途端人間はスマホを触り出す。そういう世の中になった。

そういえば1時間遅れて離陸したのに、着陸時刻は予定より10分ほどしか遅れなかった。飛行時間を多く見積もり過ぎていたのか。

 

約3時間で、ついに台湾に着いてしまったらしい。