ヘアドネーションをする
中学生の時、高円宮杯という英語弁論大会に出場する機会があった。
全国から英語弁論が得意な150人ほどの中学生が集まって、自分の思いを英語で伝えるスピーチコンテストで、この出場はわたしの中学時代のハイライトだった。
わたしは予選で敗退したけれど、全国の選ばれしスピーカーたちの弁論はものすごい熱が込められていて、揺さぶられるものがあった。
優勝した子のスピーチは、ヘアドネーションについてだった。
内容はうろ覚え、というかほとんど覚えていないけれど、確か小児がんにかかった子どもたちのために自らの髪を捧げるといったような話だったと思う。
その子はスピーチの終盤、持っていたハサミでなんと自分の髪を切り落とした。(ような記憶がある)
その時はえっと思ってだいぶびっくりしたが、眼差しがすごく真剣で、この子は心の底から訴えているんだとわかった。
あれから10年以上が経過した。
最近少しずつインスタグラムでヘアドネーションをしたという投稿を見かけるようになった。
髪を31cm以上伸ばして、サロンに「ヘアドネーションをしたい」お願いすればできるらしい。
暑さが続く中、髪を切りたいと毎日思っていたけど、このまま伸ばしてヘアドネーションをするのもいい。
髪を失う怖さは、全てを失ったことがないものの深く共感することができる。
ショートヘアにした時、そうしたくて切ったのになんで切ってしまったんだろうと思ったことがある。伸びるまで時間がかかって辛抱した。髪はやっぱり大事だ。
これがもし、病気や脱毛症で、抗がん剤の副作用で、髪が全くなくなってしまったら、
わたしだったら泣いて泣いて引きこもるに違いない。
わたしの今一番好きな海外の俳優は、昔髪が長かった。それはついさっき知ったことなのだけれど、
彼のお母様が病気になり、薬の副作用で髪を失ったため、自分が髪を伸ばして触らせてあげたい、という気持ちがあったからロングヘアーだったそうだ。
純粋な愛に胸打たれる。
わたしの髪が誰かの救いになるなら、ヘアドネーションをしたい。
今年は長く長く髪を伸ばすと決めた。